第九章

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「さすがは闇、体力ないのは相変わらずだ」 「……ごめん透兄さん。いきなり現れて学校にまで押しかけて過去の私の話をする兄さんがストーカーに見えます」 「それは……ひどい」 結局捕まってしまい壁に押しつけられている私は、思う。 オタクは意外と体力ない。 捕まってしまったのは仕方がないが、目の前に昔の姿から成長し立派なイケメンさんになった透兄さんを見るのは変な気分だ。 「……本当に透兄さん?」 「あれ、またそこに戻るの。見ての通り闇が大好きな透お兄ちゃんだよ」 「あ、別に今は好きじゃないんで……」 「一言多いよね」 素直に思ってることを言ってるだけです。 感動の再会劇はできなかったとはいえそれなりには嬉しいとは思っている。 正直、透兄さんとの思い出が曖昧だったり忘れて思い出せないけど、昔は透兄さんのことが大好きだったというのは覚えている。 覚えていることといえば……  
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