第九章

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「別れたというわりにはすごい落ち込みようだね」 「……勢いだったの。本当にくだらない口喧嘩みたいなもので、いつの間にか勢いで別れるとか言って逃げちゃって」 「……それでいいと思うよ。俺も黒木なんかに闇を任せてなんかられない」 別に透兄さんに彼氏についてとやかく言われたくない。 お母さんでも絶対言わないよ。 逆にあの母なら良かったわねー今日は赤飯……やだーお母さん赤飯の炊き方知らないわ、なんて言いそうだ。 「闇、黒木と別れたのなら……」 「別れてないぞ」 「っ……」 後ろから声がしてグイッといきなり手を引かれた私は腕が抜けるかもと思った。 優しくクイッとと、強くグイッとじゃときめき以前に痛みのほうが気になる問題だ。  
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