第九章

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「高柳さんみたいにあれやこれやとうまく立ち回れませんよ」 「僕もおかんなんて……」 「兄さんはおかんでしょ。喧嘩の仲裁うまいしすぐ世話焼くし何かとよく動くし」 エンジェルのNo.2と言われても不思議はないよね。 「んでブス、そのタッパ何」 「ブスじゃないです」 高柳弟君が指差した中間くらいの大きさのタッパには一面黄色いものをいれていた。 「……なにそれ」 「何って卵焼きですよ。黒木さんが好きだと言ってくれたので」 「だからって作りすぎ。コレステロール中心っていじめじゃん」 別に三十個くらいの出し巻き卵なんて黒木さんはペロリと平らげそうなのに。 弟君にも食べるかと問えば一つつまんで食べてくれると頭を叩かれた。  
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