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困惑しきりな彼女を見兼ねたのか、男が助け船─実際には追い討ち─を出す。
「答えて貰ったのに黙りじゃ悪いしな、俺も答える。先代魔王の事をなんで知ってるのか、だったか。それはな、俺が数代前の勇者だからだ」
「へ? ゆう……しゃ?」
ついでに、宿命を背負ったライバルでもあったな、と何でもないように語った男に対し、困惑していた彼女の思考は加速し先代の言葉を思い出す。そのまま理解すると、オーバーフローした。
「そんな、こと……ありえない……ですぅ」
その頭でさえ、そんな突拍子もない話は有り得ない。自分の話したそれよりも信憑性に欠けるじゃないか。少女はそう思いながら、目を回してベッドへと倒れ込む。
男は目を丸くしてそれを見届け、何かおかしかっただろうか、と思考の海に沈んでいった。
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