いち

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 困惑しきりな彼女を見兼ねたのか、男が助け船─実際には追い討ち─を出す。 「答えて貰ったのに黙りじゃ悪いしな、俺も答える。先代魔王の事をなんで知ってるのか、だったか。それはな、俺が数代前の勇者だからだ」 「へ? ゆう……しゃ?」  ついでに、宿命を背負ったライバルでもあったな、と何でもないように語った男に対し、困惑していた彼女の思考は加速し先代の言葉を思い出す。そのまま理解すると、オーバーフローした。 「そんな、こと……ありえない……ですぅ」  その頭でさえ、そんな突拍子もない話は有り得ない。自分の話したそれよりも信憑性に欠けるじゃないか。少女はそう思いながら、目を回してベッドへと倒れ込む。  男は目を丸くしてそれを見届け、何かおかしかっただろうか、と思考の海に沈んでいった。
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