ぷろろーぐ

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 ゆっくりと、しかししっかりとした足取りで不安定な地面を踏破していく。空も仰げないような密度の森の中で歩みに迷いが見えない様子から、この森林を歩き慣れているのが見て取れる。  上りと下りを幾らか過ぎると、丁寧に整地された場所に足を踏み入れる。綺麗に生え揃った雑草の広場の中央には、丸太によって組まれた、大きなログハウスが鎮座していた。男は、何ら反応を見せずにその建物へ近づいていく。  だが、彼は不意に足を止めた。興味を欠片も感じさせないその紅い瞳が捉えている物はログハウス……ではなくその前、丁度男とログハウスの中間に転がっている、人型をしている細長い物であった。  ただ、人ではなかった。
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