白と黒

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花を一輪手に持って花弁を一枚一枚丁寧に千切っていく。 「ランランは俺の事、好き・大好き・好き・大好き…」 「…お相手の気持ちをその2択にするのは些か乱暴ではありませんかねぇ?」 「Σどぅああぅああ!!!?」 気配もなく背後に忍び寄ったこちらに これ以上ない程驚いた奥寺先生がひっくり返る。 人を驚かすのはどうしてこうも愉快なのだろう。 「ペーさん、いきなり何するんすか!?ビックリするじゃん!」 「ビックリさせたんですよ…何度聞いても耳馴染まない渾名ですね。馴染むまで何度も呼んでくださいよ」 「性悪ペーさん。で、何て言ったの?あ…言ったんですか?」 「あなた方が相思相愛なのは分かりますが、果たしてその2択だけでいいのですか?と」 「…僻み?」 「フッ…そう見えるのならそうなのでしょう。杜先生素敵ですものねぇ」 「ランランはあげないですよー?」 「冗談ですよ。そうではなくて、他人の心を2択のどちらかに当て嵌めようとするなんて、何の意味があるのです?」 「ただの花占いじゃん!あっ…花占いだからいいでしょ!」 「占いとは呪術にも通ずるもの…誠意もってやらねばいけませんよ」 「…え?そうなの…ですか?」 花占いが呪術に通ずるなど聞いたこともない。と思いながら神妙な様子で語れば僅かな食い付きを感じる。 その様子にほくそ笑みつつ続けた。 「杜先生の奥寺先生を思う気持ちを疑う気は更々ありませんが、彼も人間です。好きであっても魔が差すという事も…ないとは言い切れない。そう言う選択も入れてこその占いでしょう?」 「そんな事ランランに限ってあるわけないじゃないですかー」 アハハと軽やかに笑っている顔に不躾に指差す。 「本当に言い切れますか?彼も男ですよ?色白でか弱い非力な女子に仮初めでもいい恋人にして欲しいと懇願されて必ず断ると断言出来るのですか? 彼とても甲斐性のある方なので女子に人気あるんですよ」 「っ、言い切れるよ!俺はランランを信じてる!」
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