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ガウン・スパナードは退屈していた。
何故ならここで落ち合うはずだった相棒が約束の時間をいくら過ぎても現れないからである。
因みに待ち合わせ場所のここは酒場。
ガウンという男は酒が飲めないうえに嫌いなのでただいま大変機嫌が悪い。
(……あの野郎……帰ってきたらただじゃおかねぇ……)
いい加減酒場でミルク三杯でやり過ごすのも難しくなってきた。カウンターにいるせいかマスターからも白い目で見られている。
マスターの視線に気づかないふりをしてガウンは辺りを見回してみた。
(……ん……)
一際目立つお客にガウンの目が止まった。
ーー別に目立った服を着ていた訳ではない。その人物は店の端に一人で座っていた。
ただどこかでその人物を見た気がする。カウボーイが被るような帽子を顔が見えなくなるまで深く被っていて後ろで肩まである長い茶髪を縛っている。服装もカウボーイが着るようなものだったが体型が細いので女性に見えた。
腰にさしてるのは恐らく片手剣だ。
だがガウンがその人物と姿を重ねたモノはそんな姿の女性に似合わなかった。
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