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(……人違いか……)
一人で勝手に結論付けてガウンはまた前を向いた。
だが前を向いた瞬間にまたその女性に目をやることになる。
「ーーおい、」
その憮然と座る女性に何人かの男が寄ってきた。大柄で汚くて貧相なその格好から察するに盗賊の集団だろう。
ドスを利かせた声を一人が掛けたかと思うと男たちは馴れ馴れしそうに女性の肩に手をかける。
誰もがそんな光景に目をやるが相手が相手だけに誰も前に出てそれを止めようとするものはいなかった。
「おい、無視すんなってーの!テメー女だろ?こんなとこでナンパ待ちですか!?」
一人の男がそう言って捲し立てると周りもゲラゲラと笑う。
「無視か?それとも声が出せなくてビビってるのかなー?!」
「ーー」
「ん?何だって?」
「情報が集まる一番の場所と聞いたがとんだお門違いだったようだな」
ーーハスキーだが男の声にないその微妙な高音はやはり女のものだった。
「はぁ?」
自分達の質問というかからかいの答えにさえなっていないその言葉は男たちの戸惑いを生む。
「マスター、ひとつだけ聞きたい。
ここにアリエス・エッジというリアナーズの騎士は来てないか?」
まるで男たちをいないことと扱い女性はマスターに向けて質問をした。
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