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「来てないよ……そんな有名な騎士が来てたらこんな小さな街じゃ大事になる」
マスターは震えた声で返す。男たちの様子が気になるのだろう。
「邪魔したな」
女性はマスターからそう聞いた瞬間、席を離れようと立ち上がる。
ガッ
「おい、テメェいい加減にしろよ!!」
男の一人が女性の腕を掴んだ勢いで深く被っていた帽子が後ろへと飛ぶ。
(ーーやっぱりあの女ーー)
ガウンは女性の顔を見て確信する。
着ているものからは想像もつかないだろうが、とある有名な女性と一致したことをーー
赤毛に近い茶髪に黄金の瞳を持つその女性は掴まれた腕を逆方向から掴み大柄な男の一人を地面に叩きつけた。
ガシャアン!!
鈍い音が聞こえて女性の周りのテーブルが無惨に倒れる。
「この国には正当防衛は適用されるのかーー?」
「え、あぁ……」
盗賊たちはビビって声も出せないようだ。それはそうだろう。見た目か弱い細い腕の女性が大柄な男を吹き飛ばしたのだ。ビビらない訳がない。
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