俺のたった一つ求めていたもの

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「怪我、治ったのか?」 「ん?だいぶね。顔がなんとかなったから来ちゃった。あまり痕残らなくて良かったよ」 「ガッコ来て大丈夫なのかよ」 内容が内容なだけに、この場で聞くか迷った。 でも先公はまだ来てねぇし、周りも周りで話しているから、誰も俺らの会話を気にしていないのをいいことに、低めの声で訊ねた。 「あ、お母さんとわたしね、お父さんと離れて暮らすことになったんだ。お母さん、自分が母子家庭で辛い思いをしたから、どんな形でもわたしの為にはお父さんはいた方がいいって今まで思ってたみたい」 「…そうか」 「でもわたしも手を上げられるようになったし、本音を伝えたらわかってくれた。わたしの為にお母さん、ずっと我慢してくれてたんだよね」 母親がサツに言わなかったのも、一応はこいつの為だったんだな。 確かに、父親がいなくなってしまう上に父親が犯罪者扱いされることを考えたら、そうなるのもわからなくはねぇか。 「けどお父さん、深瀬くんにお灸を据えられてから、前ほど迫力もなくて暴力もほとんどなくなったの」 「ほんとかよ」 「ほんとほんと!深瀬くんの強さに圧倒されちゃったんだろうね。別人かってくらい、弱々しく見えるよ。それでお父さんがちゃんとしたら、わたし達を迎えに来るって約束したんだ」
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