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この俺「金田亜蓮」は、この世が大嫌いだ。理不尽な出来事ばかり起きるからだ。
自分で言うのもなんだが、俺は俗にいう不良である。授業はサボる、煙草は吸う、他校の連中とは喧嘩三昧。教師に見捨てられ、友人もいない。漫画の世界のような札付きのワルなのだ。
だが、そんな俺にも、1つの夢、いや、「野望」がある。
それは父を殺した奴の犯人を突き止めることである。
俺が7歳のとき、父が部屋で殺されたところが発見された。
死体にはナイフが突き刺さっており、他に致命傷らしきものは見当たらなかった。検死官曰く即死だったらしい。
もちろん俺は嘆いた。泣き喚いた。怒った。憎んだ。
そして、父を殺した犯人への復讐を決意したのだ。
―――なんだがあれから結局何も手がかりは見つからず、気がつけば俺はもう高校二年である。それも教師が手のつけられないほどのヤンキーである。
このまま手がかりも見つからず時効になってしまうのではないか、そう考えていたある日の夕暮れ時だった。
学校の帰り道で、俺は道に鏡が落ちているのを見つけた。女性がよく持ってる二つ折り式の鏡だ。
もちろん誰のものかも分からない。
一瞬これをどうするか迷ったが、置き去りにするのも変だと思ったので、とりあえず持ち帰ることにした。
家に着いた。
「どうすっかなーこれ」
部屋でひとりさっきの鏡を見つめていた。
「折角だしちょっと使ってみるか」
と俺は鏡を開く。
その時。
鏡からいきなり大量の煙が出てきた。
突然のことで驚いた俺は、煙がおさまるまで顔を腕で隠した。
煙の量が少しずつ減っていく。少しずつ、少しずつ。
そして完全に消えたのを確認し、腕を顔から外した。その視線の先には―――。
「よっ」
そこにはさっきまでそこにいなかったはずの男がそこにいた。
どういうことだ?この部屋には俺しかいなかったはずだ。
しかも鏡が消えている。一体何処にいった?
しかし、驚くべきはそこだけではない。
突然現れたその男は、なんと俺と瓜二つの姿をしていたのだ。
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