第1章 

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Blue ~sea and sky~ 第1話「運命の再開」 赤…。 一色に染まり、飲み込んでいく。私の大切なもの、全部。 ―――ある家が火事になった。勢いよく炎は燃え上がる。火に飲み込まれたその家の中に、一人の少女は取り残された。 「お父さん…お母さん…何処?何処にいるの?助けてよ…。」 バァァーーン!! 火の勢いは収まることなく、焼け崩れた木々が少女の真下に落下した。 「?」 目を開けると一人の少年が少女を助けた。歳は変わらないくらいなのに、美少年であった。その少年は、少女を抱きかかえ外へと歩き始める。 「もう大丈夫。ほら、おやすみ…。」 少年の言葉の魔法にかかったように、少女は深い眠りについた。 ―――あれから11年。 少女こと、山吹咲空は紅星高等学校に進学した。長い髪を一つに束ね、前が見えを分けている。入学式が行われ、クラスに向かって咲空は一人、歩いていた。 「(1のBクラスは…こっちか)」 階段を上がり、右に曲がるとAクラスからDクラスまで教室が並んでいる。 「!」 咲空の目の前に、11年前突如現れ、助けてくれたあの少年が―――そこにいた。 「あなたは…」 「…。」 青年は無言のまま、咲空を見つめている。 黒髪の短髪、澄んだ髪に白い肌、規定の制服と、胸元のボタンが数か所外されているワイシャツ――。 「君は…」 青年は思い出したかのように、小さく口を開けている。 「あの時は本当に有難うございました。私、山吹咲空です」 「俺は狩野碧海だ」 「(狩野…碧海…)」 咲空はまじまじと碧海をみる。 「何?」 碧海は、咲空の顔を覗き込んだ。 「!」 急に覗き込まれた咲空は、赤面すると同時に驚く。 「いや…綺麗な顔してるから、ハーフか外国の人かと…」 咲空は何かを必死に隠そうとし、嘘の笑みを浮かべる。 咲空は生まれつき、人の思想や心をみる能力を持っていた。そのせいか、昔からいじめにあうことが多かった。 「(変だな…この人、心が読めない)」 「山吹は変わった人だね」 「狩野君もそうだと思うけど」 「…碧海」 「?」 「俺、苗字で呼ばれるの嫌いだから、碧海でいいよ」 「うん。じゃあ、私も咲空でいいよ」 そうして、二人の高校生活は始まった。 各クラスでは、それぞれ自己紹介が行われた。
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