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当惑しているシンタロウにケビンは、WDFRのこと、またミクとのエピソードを話した。
「突然で驚かれたことと思いますが、まずWDFRについてお話しましょう。
これはWD公認の非公開組織です。
我々の役目は、年間何百枚も配布されるフューチャーライドカードの管理を行うことです。
このカードが発券されるようになった2000年初頭から配布されたカードの多数が回収されないまま眠っていますが、その履歴を把握するため2010年から秘密裏にカードに特殊なICチップを埋め込み、配布されたカードが世界中どこにあっても所在がわかるようにしました。
当初は回収率等のデータを集計したりしていましたが、それよりも重視すべきことがあることに気が付き、現在は主にカードを持って再来園されたゲストのマジックモーメントの調査を主体にしています。
私はそのエージェントであり、きょうは30年後の日本支社から時空を越えてやってきました。」
半信半疑ながら
「そうなんですか、あの子は余命6ヶ月なんて・・・・
人間の運命って残酷ですね・・・」
とシンタロウは寂しそうに言った。
「ウノさん、人間の運命は変えられないんです。
でも、最後の時にどれだけ幸福な気持ちでいられるかが重要なんです。
これを見てください。」
ケビンは1枚の写真を見せた。
「これはっ!? さっきの坊やと一緒に撮った写真!どうして?」
「6ヵ月後、あの子はこの写真を胸に抱いて、嬉しそうな顔で息を引き取ります。」
ケビンの話しにシンタロウの目から涙が溢れ出た。
「ウノさん、知っていますか?
メディテレーニアン・ハーバーの水は去っていった多くのキャストの涙で満ち溢れているということを・・・・
アメリカンウォーターフロントからポートディスカバリー、ロストリバーデルタに入りアラビアンコーストからマーメイドラグーンを抜けミステリアスアイランドへ、そして元にもどりまた循環していく。
今はいないキャストの想いがグッドショーを支えています。
ここではみんな退職することを『卒業』って言っていますが、そうじゃなくて、多くの感動体験を思い出に『旅立って』行くんです。
だから、戻れるんです。帰って来れるんです。」
シンタロウはこらえきれずに声を出して泣き出した。
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