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「雫さんは好きな人いるんですか?」
無知からの突然の問いに、ビックリした僕はコップを落としそうになった。
「え、何でそんなこと聞くの?」
もしかして信也君のこと好きなのバレたのかな…?
「いえ、実は気になる人がいまして、相談にのって頂けたらと」
「あ、あぁ!そういうことね!」
自分じゃなくて安心した。でも無知君の口からそんな言葉が出るなんて思わなかったから、やっぱりビックリした。
「なるほどねぇ」
全てを話した後で、雫さんは腕を組み頭を傾げていた。
「そんなに大事な人なら、僕は好きなんだと思うけど、恋愛感情とはまた別の話だからね」
「はい、どうしてもそう思えないんです」
「やっぱりお兄ちゃんっていうのが消えてないんだろうね、でもそればっかりは仕方ないよ、嫌われたくないって気持ちの方が勝ったら」
「やっぱり僕っておかしいですか?」
「いや、全然、むしろ素直でいいと思うけど…」
「雫さんなら的確な判断をしてくれると思ってました、ありがとうございます」
「いいよいいよ、こんなことしか出来なくてごめんね」
「僕も雫さんが誰かを好きになったら応援したいです」
「あー…僕はいいかな」
あははと誤魔化してみる。
「そうですか、わかりました」
無知はそう言うと、また考え直してる顔に戻った。
雫さんにも言われたけど、やっぱり恋愛感情じゃない。あくまでお兄ちゃん的な存在なんだなぁ。
また敦士さんに会ったら話そう。今日は華さんと一緒だろうし。
「おーい、無知飯に行かないか?」
信也さんが話しかけてくれた。
「あ、行きます」
雫さんと三人で食堂に向かう。
「あの、信也さん、恋ってどんな感じなんですか?」
信也さんなら雫さんより年上だし、他の回答が返ってくるかも。
「あー?恋って、嫌みかよ?俺は誰も好きになったことねーぞ」
「誰か見てドキドキしたりはないんですか?」
「ねぇよ、だってここ男しかいないじゃん」
男はご勘弁と信也さんは言う。
確かにここは男しかいない。この環境でそんなこと聞くべきでもないな。
僕の周りにそういう人が多いだけなのかも。
僕はよくわからないけど、恋愛に性別は関係ないと思うし、歳も関係ないと思う。
好きになったら仕方ない…って奴じゃないのかな?
どのみち僕はまだ誰もそういう意味での好きじゃない。
だからそっちの気持ちはわからなかったけど、 お互い幸せならいいと思った。
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