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「この最後のところを見ろよ」
クニが興奮して叫んでいた。
「いいか、おれが読むぞ。『この秋、いよいよ両派は雌雄を決する壮絶な戦いに打って出る。生き残るのは、五王連合か、逆島派の残党か。血で血を洗う、最終決戦の火ぶたはこの東島進駐官養成高校で、明日にも切られようとしている』だってさ。すげーな、タツオ。おまえはほんとに有名人だな」
どちらの派にも属していない呑気(のんき)なクニの声を聞きながら、タツオは猛烈に考えていた。こんなビラを撒くのはいったい誰なのだろう。五王連合にも、暁島会にもひとつもメリットがなかった。第三者がいて、そいつらが権力争いを煽(あお)っているのだろうか。それは誰か。情報保全部、萬家や天童(てんどう)家をはじめとする第三の勢力、あるいはタツオが想像もできない外部の力。ジョージとタツオの目があった。親友が低くいった。
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