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頭を鈍器で殴られたようなそんな痛み。
あぁ、何処かでこんな痛みを体験したことがある気がする。いつだっけ。思い出せないや。
「どうして死んじゃったの…」
そんな声が聞こえた。
「透子…ごめん。」
そして僕は意識を手放した。
暖かい。暖かい。柔らかく僕の体は浮かび上がる。暖かい暖かい。僕は浮かぶ。飛んでいるようにぐるっと回ってみる。自然と笑顔になる。目を開く。そして絶望する。現実に引き戻される。僕に似た少年は大きな剣を振り上げて切られて真っ赤に染まった人間たちを見て嗤ってた。それは人を見下すように、それでいて羨むように。あれは僕?そんなわけない。僕はここにいる。僕は……
「やめてくれぇ!!!『ユウヤ』…ぐあっげぇっ!!!」
僕の思考は完全に停止した。ユウヤ?ユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤユウヤ??優弥…?そそそそそれって、ぼ、ぼぼ僕の名前。
あいつは、僕なの…?
「お前、誰」
顔を上げると顔を真っ赤に染め上げた僕がいた。僕はこんな顔スルンダ。
「お前、俺に似てる…ってなんで泣いてんの」
名前が同じなのと容姿が瓜二つなことからしてこいつは僕なのだろう。そう思うと涙が溢れた。僕はこんな非道なやつじゃない。僕は…僕は、僕は僕は…僕はっ!!!!
「……お前なんかとちがうんだぁぁぁぁぁああ!!!」
ユウヤは思い切り嫌な顔をして、僕の顔面を一発殴った。
「分かったわ、お前…本体だろ」
僕はこんなやつとは違う。人なんか殺せない。こんなやつと一緒にされたくない。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
「本体様がナンデこんなとこにいんだよ…何?殺意と本体交代ってか?俺は構わねぇんだけど、みんな…殺しちまうよ?老若男女問わずな」
「黙れぇぇぇぇぇぇ!!!なんだよ、殺意って…僕にはそんなのないよ…」
誰かを殺したいなんて思ったことないし思いたくもない。みんな大切な人たちだから。死んでいい人なんて誰1人としていない。「そりゃそうだ」
僕は涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げた。
「だって俺がここで人を殺してたら本体様が思う必要がねぇし。そのために俺はいるんだシ」
「…は…?」
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