第1章

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チェーンとかあったらもっといいんだけど。そう思うと端から長い長い鎖が出てきた。どうやらこれは僕の意思で形が変わるようだ。僕は故意的に口角を上げた。 本当にこれでよかったのか?こんなの優弥がかわいそうだ。俺は優弥が大切だから人を殺して来たけど…。 優弥を守るためってあいつは言ってたけれどあれは本当なのだろうか。 『あの子、ある人に命を狙われてるのよ。そこであなたがある人を殺せば、あの子は何もしらずに元通り生活に戻れるわ。ユウヤは優弥が大切なんでしょう?ならできるよね?』なんて言われてしまったらやるしかない。優弥に言ったことも全てあいつの指示だ。どうしてあんな酷いことを言わなきゃいけねぇんだ。 「意味わかんねぇよ」 俺たち感情と本体の記憶は共有できるもので、優弥が忘れてしまっている記憶一つ一つわかるんだ。だから、今まであったこと全てがわかる。これが感情のいいところだなと俺は思う。 「ユウヤ。本体になった気分はどう?」 姿を見なくても俺は誰かわかる。あいつだ。 「なんだよ、那津」 声が聞こえた方を見る。那津は木の上で座っていた。黒いカーディガン、黒のストッキング、黒の靴、腰くらいまである真っ黒な長い髪、日焼けをしらない真っ白な肌、そして何もかもを吸い込むような真っ黒な瞳。那津はニヤリと不気味な笑みを浮かべた。 「本体の身体はどんな感じ?重たい?軽い?」 「なんでそんなこと言わなきゃいけねぇんだよ」 そういうと那津はぷぅっと頬を膨らました。 「僕は感情なんてない生き物だから感情と本体の入れ替わりなんてできないんだよ」 「だからなんだよ」 「どんな感じなんだろって思ってさ」 那津はニコッと笑う。感情がないんだからこの笑顔も嘘のものだ。 「別に普通だよ。で、何の用?」 那津は木から飛び降りて俺の目の前に来た。こう見ると綺麗な顔立ちをしていると思う。 「もぉ…どうしてそんなにツンツンしてるのさ!」 「で?何の用?」 「うぅ…相変わらずだなぁユウヤは…。えっと…あ、そうそう!」 俺はイライラしてくる。早く言えよ。 「ある人…だと思ったら殺しちゃって構わないよ。まぁ、襲ってくるだろうから条件反射でユウヤは殺しちゃうだろうね。ほら、これ」 那津はカーディガンのポケットからチェーンの付いた懐中時計を俺に渡した。数字が外国の時計などでよく見る数字になっている。
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