第1章

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「それに適当に思いを込めればユウヤの好きなように形が変わるよ」 「ふぅん」 感情のときに使ってたやつみたいなもんか。俺は感情のときに使ってたのような剣がいいためその姿を想像した。すると時計は形を変え俺の思い通りの形へと変化した。 「なかなかいいじゃん。これ」 「でっしょぉ!」 那津が胸を張る。胸を張るほどの胸はないなと思うけど。 「そんだけ!じゃ、またねユウヤ!」 那津は背中から真っ黒な翼を生やしそしてくるんっとその場で回る。すると那津は真っ黒な鳥、カラスへと姿を変えて夕暮れの空を飛んでいった。羽が一枚落ちる。俺はその羽根を手に取る。羽根はさらさらと砂のように消えた。 「馬鹿鳥が…っ」 「僕はね、この世界を変えるほどの殺人鬼を作りたいんだよ。だからね…あそこですでに殺人鬼として作っておきたかったんだよ。…ふふっ…ふふふ」 黒い黒い真っ黒な影はゆれる。 「ふふふふふ…ふはっ…あはははははははっ」 そして高笑いする。 「さて、他の子達はどうなのかな?」 『あの謎の事件から今日で一週間が経とうとしています。高校二年生の生徒4人が誰かに襲われ3人記憶を失う、1名死亡という事件のことです。まだ犯人は捕まらないのでしょうか。情報についてのご協力今後ともよろしくお願いします。…では、次のニュースです。…』 家でテレビを見ていた。そうか、あの事件からもう一週間か。 4人の高校2年生が鈍器のようなもので後頭部を殴られ、1人死亡。3人記憶喪失。殴られたときの傷跡が同じなことからして狙って犯行されたとみなされ殺人という罪で犯人を探しているらしい。その中に私も入っているらしい。そのときの記憶はおろか事件の前のこと全てを忘れてしまったのだから犯人なんてわからないし…それに場所が悪かった。誰もいない場所だったものだから誰も見ていないだろう。友達の名前も、親のことも、わからない。ただ、勉強ができるようになった。なぜかはわからないけれど問題を見ると答えが自然と頭に浮かぶのだ。記憶を失う前は普通の成績だったものが大幅に上がった。普通記憶を失ったなら勉強も忘れるはずなんだけどなぁ。 「奈美ー!百合香ちゃんっていう子が来てくれたわよー!!!」 「はーい!!!」 母の声で私は玄関へと行く。百合香と言われても誰かわからない。 「あの…奈美さんですよ、ね?」 いや、そんな疑問風に言われても。
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