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幼い頃、近所の公園に紙芝居をするお兄さんがいた。
元号が昭和から平成に代わったこの国では、皆、紙芝居よりアニメに夢中だ。
皆が夕方放送の「プリティー・リリー」や「アニマル戦隊ガオレンジャー」のために走って家に帰る頃、私は公園に残り、お兄さんが来るのを待っていた。
お兄さんはいつも17時きっかりに金色に染めた長髪を靡かせながら走ってくる。
お兄さんは自転車から降りていそいそと紙芝居の舞台を組み立てる。
お兄さんはいつも個性的な絵の描かれたTシャツと擦りきれて白い膝の見える青いジーンズを着ていた。
お兄さんは男性にしては色白だった。
それに手足が長く、ぱっちりした青い目で背も高かったため、初めて会った時は、「どこの国の人?」と思わず聞いてしまった。
お兄さんは少し驚いたように目を見開いたが、すぐに白い歯を見せ、笑いだす。
「日本人だよ。
近くの大学で絵を描く勉強してるんだ。
その勉強のために、紙芝居作ったんだけど、良かったら見る?」
それを聞いた私はワクワクして何度も頷いた。
お兄さんはそんな私を見てニコッと笑うと、紙芝居を始めた。
「昔、昔、あるところに--」
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