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道しるべである一里塚の大ケヤキの前を過ぎ、小さな地蔵堂の前を過ぎ、ここだけ切り取ったらアルプスのハイジの家?と勘違いするようなペンションの前を過ぎ、オレたちは順調に車を走らせていた。
緑が濃くなり、車は山の中に入ってきた。適度な揺れとはしゃぎすぎの反動か、オレは少し眠くなってきた。
もうすぐペンションに着くっていうのに。
CDを優に十枚は聞いた頃、楊が声を上げた。
「あれ?カーナビが働いてなくねえ?」
「え?ホントだ」
助手席の類がカーナビの画面に顔を近づけた気配がした。
類は近眼だからな。
オレはうとうとしながら、三人が騒いでいるのを聞いていた。
「壊れちゃったんですか?」
あ、結構盛り上がっている。
ここで起きとかないと、後で何を言われるか分からないからな。
うー。がんばって起きるか。
オレは起き上がってペットボトルの水を一口飲んだ。
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