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(一)
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猛暑の夏が去り、校庭に涼やかな風が吹き抜ける。
その秋冷の園に、僕達は列を作って並んでいた。
今日はこれからフェリックス剣兵学校の入学式が行われる。
主役は僕等春期生ではなく、今日から後輩になる秋期入学の新入生達だ。
「マーヴィン校長、また英雄ブライアンの話かな?」
親友の一人、ジョニー・クロフォードが訊いてきた。
「入学式と卒業式では必ずその話だって先輩達も言ってたからな」
僕が答える前にもう一人の親友、ロビン・キャンベルが答えた。
「僕はあの話、好きだけどな」
僕の言葉にジョニーとロビンも頷いた。
「何度聞いても興奮するよな、英雄ブライアンの伝説は」
ロビンはブライアンを神のごとく崇めている。
まぁ英雄ブライアン・コットに憧れているのは彼に限った事ではない。
殆どの者が彼に憧れてこの学校に入ったのだ。
僕達三人は地元フェリックス市出身だが、中には遠くの州からわざわざ希望してここに入ってくる者も居る。
校長が台上に上がり、まず新入生達に祝辞を述べる。
それから予想通り、ブライアンの話が始まった。
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