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結局俺が公園に着いたのは5時15分だった。
完全なる遅刻。息を切らしながら公園を見回す。
ベンチの上で眠っている人を見つける。結城だ。
「結城。」
声をかけると、ゆっくりと目を開ける。そして一言。
「遅い。」
不機嫌そうに起き上がり、大きなあくびをしてから足元のギターを手に取る。
「ごめん。言い訳になるけどこれでも走った。」
「奏汰は鈍足だからなぁ・・・。まぁ急に呼び出したのはこっちだけどね。」
そう言ってけらけらと笑う。そこで俺は結城の額が切れていることに気づく。
慌ててハンカチを取り出す俺に結城は目をきょとんとさせる。
「結城・・・どっかで転んだ?」
結城の額をハンカチで押さえながら俺は尋ねる。
「あぁ、そういえばさっきジャングルジムで頭ぶつけちゃった。アハハ」
「頼むから15歳がジャングルジムで遊ばないでくれよ・・・。」
傷口からは今も出血していて、痛々しい。
「万が一顔に傷跡でも残ったらどうすんだよ。」
「そのときはそのときだよ。のーぷろぶれむ!あ、でも嫁にいけない~!」
「いいからじっとしてろって。」
俺は結城の額に慎重に絆創膏を貼る。
「よし。」
「ありがと。お礼に一曲歌うよ。」
「それ、お前が歌いたかっただけじゃ・・・」
俺の声は結城の奏でるギターにかき消される。
空気が変わる。結城の表情が変わる。つい、見惚れる。
もはや額の絆創膏など気にならない。
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