公約① 恋愛解禁条例!

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     1 「フレーッ! フレーッ!!  こ・く・ら・づ・かーっ!! だいにっ!!  フレフレッ、小倉塚第二っ! フレフレッ、小倉塚第二っ!! ……セヤーーーーーッ!!」  あたしは、グラウンドの藤棚に覆われた一角のアスファルトに座って、応援団の男子生徒達が演舞(えんぶ)の練習に励んでいるのを、ぼんやりと見ていました。 (こんなに暑い中、あんな長い学ラン着てて大丈夫なのかなあ~?) 「真希ーっ、ホラホラッ! アイツよアイツ、アイツ超可愛くない?」  あたし、福岡県立小倉塚高等学校普通科2年2組・矢田部真希(ヤタベ・マキ)は、7月の炎天下の中、一生懸命暑い青春を燃やす彼らを、木陰から見ていますが、それもこのお友達から誘われているから、しぶしぶです。 「涼香ちゃん、どの人?」 「あれよ! あの学ランがマントみたいになってるチビの1年よ!!」  数少ないあたしの親しいお友達、同じ2組の永末涼香(ナガスエ・スズカ)ちゃんは、ゆらゆらかげろうアスファルトに寝そべって、望遠レンズの付いた高級そうな一眼レフのカメラを、応援団員の中の一人に向けています。 「涼香ちゃん、ダメだよ。いくら涼香ちゃんが新聞部員の写真担当って言っても、許可なく人を撮影したら、後から問題になっちゃうよ?」  あたしはそう言ってたしなめますが
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