プロローグ~選挙事前運動~

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 ぴょんぴょんぴょん! (う~、う~、う~)  ぴょんぴょんぴょんぴょん!! (う~、う~、うう~!)  ぴょんぴょんぴょんぴょんぴょん!! (うー、うー、うー!! あっ)  あたしは、いつも思います。  学校の本棚って、どうしてあたしみたいな子には優しく出来てないのかなって。   (あっ、もうちょっとで届くと思ったのにぃ~!)  ヘルマン・ヘッセさんの『車輪の下』は、うちの学園の図書室にある本棚の中でも、いっちばん高い場所にある【ヨーロッパ文学全集】ドイツ・中欧コーナーのそのまた真上です。  身長145センチのあたしが、せいいっぱい背伸びして更に右手をあげてジャンピングしても届かないんです。  し・か・も!  普段このコーナーにある本を借りるような生徒は、あたしの他には滅多にいないので、端から端まで隙間なくビッシリと本で詰まっています。 (あーん! やっぱり届かないよお~!!)  踏み台があることにはあるけど、あたしは高所恐怖症なので、飛行機のタラップみたいな形の階段状のそれに乗る勇気もないです。 (しょぼーん……)  こんな日に限って、図書室の中には誰もいません。
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