プロローグ~選挙事前運動~

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 おそるおそる顔を上げたあたしは、そこに背の高い男子生徒が、両手をめいっぱい広げて、崩れそうになっている本の束をせき止めている姿を確認しました。  はたから見たら、有り得ない位にシュールな光景だったかも知れません。  だけど、彼のおかげであたしは全く無傷でいられたのも確かです。 「……ったく、なーにやってんだよ!?」  非難するような、呆れかえるような声があたしに向かって発せられます。 「ご、ごめんなさいっ!!」  たった一言を口にするだけでも、あたしは10秒もの沈黙を必要としました。 「よいしょっ!!」  彼は、あたしに背を向けたままの状態で、受け止めた大量の本をパズルをはめこむように本棚に戻します。 「……声、小さいよ。アンタ」 「はっ! はい、すみません」「謝るときは、相手の目を見てちゃんと話せよ」  そう言って振り向いた彼は、座り込んでいるあたしを見下ろす程の背の高さで……180センチはゆうに超えてたと思います。  均整のとれたスラッとした手足の長さと、日焼けした肌、切れ長のブラウンの瞳が吸い込まれそうなくらいキレイで、その整った顔であたしをじーっと見ています。
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