プロローグ~選挙事前運動~

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「あっ、ウィリアム・シェイクスピアさんの『ハムレット』は、ここじゃなくて、端っこにあるイギリス文学のコーナーです」 「どこ?」 「ここです」  そう言って指し示したあたしの手首をギュッと掴んだ池永君は、 「ほら、これなら棚に届くだろ?」  そう言って、あたしのウエストをひょいと持ち上げて、高い高いするみたいな格好をしたんです! 「キャーッ!?//////」 (男の人に、男の人に……体をタッチされちゃった!?)  あまりにもあたしの叫び声、いや悲鳴が大きかったからでしょうか?  図書室付近にいた生徒たち数名が、何事かと思って駆け付けてしまいました。  あたしは、ビックリしてまた飛行機のタラップみたいな踏み台の影に隠れて、縮こまった姿勢でおびえてしまいます。 「おい!? チーマキちゃん、どうしたんだよ?」  張本人の池永君は、まるで狐に化かされた村人のような表情です。 「おい! 何してる!?」  学年主任で剣道部顧問の佐々木先生が、竹刀を持って駆け付けて来ました。 「いや、別に何も……」  池永君は、愛想笑いをヘラヘラ浮かべています。 「まーた、お前か!? 池永っ!!」 「だから、ササッキー。俺は何にもしてないってば!  ただ、そこにいるチビッ子を抱っこしただけで」 「何っ!? キサマ、か弱い女子生徒に対し、ハレンチ極まりない乱暴狼藉をまたもや!!」  
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