“つのなし”が神様を嫁にした話。
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けれど荒れた田畑に穂は実らぬ、水がなければ花は咲かぬ。 干上がった心に不器用で不恰好なそれは届く筈もなく、 「それでは行って参ります」 今生の別れになるかもしれないその夜、 「粗相のないよう」 父子の言葉はそれだけだった。 父に出来たのは僅かな事。 小さく遠くなっていく我が子の姿を、祈るように願うように見守る、ただそれだけだった。 たったそれだけのことだった。
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