“つのなし”が神様を嫁にした話。

6/29

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
 しきたり通り常ならば、満開に咲く白い御神木それが根元で一人一晩。 次の朝が健かであればあるほど守り神の祝福を受けたことになる。 昔からのお決まりで、その儀を終えてが里の子と認められるが習わしで。 桜が咲かねば意味がない、皆と違えば意味がない。 “つのなし”里の子なれる機会を逃し、里の子なれぬと名前もらえず、親から名前を与えられる大切な機会までをも逃した。   守り神様に嫌われて名前すらない鬼の子と、里の民はそう言った。 名が力を持つ妖世界。 民が力を持つ里社会。 それはあまりに無様で無残な言われようだった。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加