過去の栞

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信号が青になった。自分たちは緑公園に入っていく。 「そういえば、今日の宿題、難しいよね」 「算数プリントのこと?」 確かこのときにだされたものは、算数の問題プリントで、中身は分数の文章問題が主のものが宿題に出されたと思う。 「そう、それ。あぁ漢字を一ページ書く宿題のほうがよかったなぁ。算数、嫌だなぁ」 栞は算数は苦手だった。その代わりに国語は得意だった。社会は普通。そして理科は嫌いだった。 それはこの年に、来年はフナやカエルの解剖の授業があると理科の先生から聞かされたからだ。栞がそのことでショックを受けていたのを今でもよく覚えている。 「ね、私が明日の朝に、先生に宿題を出す前にキミの答え見せてくれない?不安だし答え合わせしたいの」 明日。明日の朝には栞は、もういない。明日にはもう、死んでしまっている。 客観的な自分は、なにも知らない栞を大事だと感じて抱きしめたくなった。しかし主観的な自分は答えをそのまま写させて、とは言わない栞を、らしいなと思っていた。 「いいよ」 自分が勝手に返事をする。栞には明日が無いことがをわかっているのに、自分は何をいっているんだ! 客観的な自分がとどまっても、主観的の自分が勝手に動きだしてしまう
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