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そこで目が覚めた。
一瞬、自分がどこにいるのかわからなかったがすぐに自分の部屋のなかだとわかった。
散らかされたままの服。コンビニ弁当の空容器。狭いワンルームの汚れた惨めな部屋。これが自分のあのときから現在までの結果だ。
気だるい体をうつ伏せで動かし、枕元に置いてあるタバコに火をつける。タバコのメンソールを毎朝眠気覚ましに吸うことにしているのだ。
口の中にハッカにも似た味を感じながら、夢のことを思い出す。
体を起こし、タバコを口にくわえたまま机の引き出しから、スクラップブックをとりだした。そのなかには事件に関する自分が集められた限りの記事がある。最初の一ページから読み始める。事件発覚の新聞記事だ。
一九九一年、十一月六日に、あの林道の側溝で栞が遺体で発見された。
遺体は栞の母親が発見した。六時を過ぎても帰ってこない栞を心配し、栞の通学路を辿って探していたところ林道の側溝を塞ぐようにうつ伏せに倒れていた栞を見つけた。救急車を呼んだらしいが、そのときもう栞はとっくに死んでいた。
警察は、遺体状況から他殺と断定した。栞は鎖骨を骨折しており、身体には痣。犯人のものとみられる体液。そして首には人の手で絞殺したと思われる痣があったからだ。
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