勇者、食卓に並ぶ。

4/4
211人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「もう、家中の物をかき集めても、この冬は越せない。 森に猟に出るしかなかった。」 ガックリと俯く父親を、心配そうに見つめる子供。 「もっと食え。」 そんな子供にクリスは、自分のパンを渡す。 確かにおかしな話しだ。 ハペスト様の病気の話しも聞いていない。 ましてや嫡男? あそこは、娘が2人いて養子の話しが上がっていたはずだ。 「その話しは、おかしいと思う。ハペスト様には、息子は居なかった筈だ。」 クリスの言葉に、父親がビックリして顔を上げる。 領民なのに知らなかったのか? 「そ、そうなんだ。俺達は、知らされた事しか解らないから…。」 確かに上流階級には、側室の子供とか沢山いる話しは良く聞くが。 「リュー様、何かおかしな事が起こっているようです。 どうなさいますか。」 質問より、断言。 王女が何かすると、確信しての質問。 「クリス、ハペスト様に会いましょう。このまま、見過ごす事は出来ません。 お困りならば、何かしらのお手伝いが出来ると思います。」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!