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「もう、家中の物をかき集めても、この冬は越せない。
森に猟に出るしかなかった。」
ガックリと俯く父親を、心配そうに見つめる子供。
「もっと食え。」
そんな子供にクリスは、自分のパンを渡す。
確かにおかしな話しだ。
ハペスト様の病気の話しも聞いていない。
ましてや嫡男?
あそこは、娘が2人いて養子の話しが上がっていたはずだ。
「その話しは、おかしいと思う。ハペスト様には、息子は居なかった筈だ。」
クリスの言葉に、父親がビックリして顔を上げる。
領民なのに知らなかったのか?
「そ、そうなんだ。俺達は、知らされた事しか解らないから…。」
確かに上流階級には、側室の子供とか沢山いる話しは良く聞くが。
「リュー様、何かおかしな事が起こっているようです。
どうなさいますか。」
質問より、断言。
王女が何かすると、確信しての質問。
「クリス、ハペスト様に会いましょう。このまま、見過ごす事は出来ません。
お困りならば、何かしらのお手伝いが出来ると思います。」
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