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「リュー様これから道を外れないように、歩いてアバンに向かいます。
アバンに為替と、次の馬車を用意しております。
そこまでは申し訳ありませんが、歩いて頂きます。」
「わかりました。頑張って歩いてみます。
勇者様も、歩いて下さいますね?………勇者様?
ど、何処においでますの!」
「あ!いつの間に!」
少し目を放した隙に、勇者はベリーの匂いを辿って、森の中に入り込んでいた。
赤いリードがチラチラ遠ざかって行く。
「待て!この!」
城の外に出たことのない王女を、置いていくわけにいかず、慌てて手を取り勇者…ブタを追い掛ける。
しかし!王女の足は遅く、だんだんと赤いリードは遠くなっていく。
見失ったか?慌てた頃に、
『ブヒー!ブヒー!ブヒー!』
勇者の助けを呼ぶ声が、いや…鳴き声がした。
「どうなさったのです!勇者様!」
と、藪をかき分けてたどり着いたのは、親子連れに捕まっている勇者…。
「わーい!やっと食べ物が手には入ったね!父ちゃん!」
「ああ。少し小さいが!久しぶりの肉だ。みんな喜ぶぞ。」
父親が手早く、勇者を縛り上げる。
『ブヒー!ブヒー!』
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