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「お、お待ち下さい!」
親子連れの前に藪をかき分けて、突然現れたのは金髪の美しい少女で、その後ろには逞しい剣士が続いている。
「その、ゆ、ゆ、あの、その子を返して下さい!た、食べられては困ります!」
「あんた、だれだ?」
聞いてくる父親に、剣士が穏やかに話しかける。
「済まない、そのブタはこの人の大事ペットなんだ。偉い人から預かったブタでもあるし。
返して貰えないだろうか?」
ブタの首に付いたリードを指差す。
「ああ…確かに。人の物だったか…。」
あまりにも落胆しているので、
「少し話しを聞いてもいいか?」
事情を聞いて見ることにした。
親子の姿は、やつれていて…
グゥ~キュルキュル~。
「まぁ、お腹が空いてますのね。宜しければ、少しご一緒しませんか?
クリス、食事の用意をして頂けません?」
自分で誘っておいて、騎士に丸投げの王女。
「わかりました。余り沢山はありませんが、良ければご一緒に。」
苦笑しながら、ブタ(勇者)を回収した。
ここで、勇者を食われる訳にはいかないのだ。
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