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火を使いたかったので、少し広い場所に移動する。
簡単な竃を組んで、水を沸かしスープを煮込む。
乾燥した野菜と干し肉を入れて、味を整えていると隣に座った子供から、ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえる。
堅パンを薄くスライスして、チーズを少し乗せて火で炙ると、香ばしい匂いがしてくる。
「熱いから気をつけろよ。」
そう言いながら子供に渡すと、ハフハフ言いながらかじり付いた。
「この領地は、ハペスト様が領主の筈だが、近年は特に不作の話しも聞かない。
領民が、飢えて困る事等無いはずだが?」
確か、立派な人物だったはず…。クリスは、ハペストの顔を思い出す。
父親に確認を取ると、大きく頷いた。
確か温厚な人柄だった。
「それが、最近領主のハペスト様が病に倒れ、嫡男のトーリオ様が執政をしてから、納める額が大きくなって…。」
今までが少なすぎて、領地経営も破綻寸前と言われ、強制的に搾取されてしまったとか。
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