怠惰な金魚Ⅲ

３

　親友の芹沢世理ちゃんは、私のヒーローだ。

　小中高と一緒の学校だったけれど、世理ちゃんと初めて人間らしく会話をしたのは高校生の時だった。

　世理ちゃんは独特な雰囲気を持っていて、どこか近寄りがたい感じの一匹狼で。

　でも不思議と人には嫌われず、むしろみんな世理ちゃんの事が気になり過ぎて寄れない感じだった。

　わたしもその中の一人。

　だから、彼氏の侑史が世理ちゃんを口説いた事がとても恥ずかしかった。

　世理ちゃんにそんな非常識なことしないでよって思った。

　あの時、世理ちゃんはどう思ったかな。

　こんな尻軽男と付き合っているわたしを軽蔑したりしなかったかな。