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「これからお出かけするんだって斑目が張り切って、私はお人形さん。昨日は大丈夫。あの人は戻ってこなかった。……結婚はする」  順序良く答える世理ちゃんの指がニギニギしていたのを私は見逃さなかった。  まさかまさかまさかっ! 「世理ちゃん駄目だよ!」  言われた世理ちゃんは目を左上に向け、少し口を尖らせ口笛を吹く仕草をする。  怒られた子供がシラを切っているみたいだ。 「結婚したら飽きたらポイーは出来ないんだよ!」 「わかってる」 「わかってない! ぜーったいわかってない!」 「わかってるってば。飽きたらポイじゃなくて離婚すればいいんでしょう?」 「そういう事じゃなくてっ!」  なんだか宇宙人と会話しているようで、わたしは眩暈がした。  ここに来て、まさかの世理ちゃんの悪い癖が出たのだ。
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