第二章♯2

3/10
前へ
/34ページ
次へ
一旦きつく目を閉じると、思い切り息を吸い込んで目を開けた。 「小早川さん、これ以上はよそう」 胸に中にいる彼女の旋毛目がけて言った。 背中を蠢く手の動きが止む。 「どうしてですか?」 胸の中に蹲ったまま篭った声。 「君は部下でもあり、愛莉の親友だ」 「……怖いんですか?」 「怖いよ、俺は君を幸せに出来ないから。自分の手で幸せに出来ない女を俺は抱けないよ、ごめん」 背中から腕がスッと出ていき、彼女は俺から離れた。 「ふっ、あーあ、やっぱり駄目かー」 今までの艶美な雰囲気とは一転、軽快に言って、ゴロンと天井を仰いだ。 「お酒飲んで、酔っぱらって、高坂さんとセックスして、気持ちよくなって、何もかも忘れたかったんだけどなー」
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

218人が本棚に入れています
本棚に追加