第三章

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というか、なんで俺が尋問みたいなことを受けなきゃいけないんだ。尋問されるなら課長の方だろ。俺は第三者で本当は全くの無関係なのに。それに、一番の根源は課長なのによ。 課長の態度、口調にだんだん腹立たしくなってくる。 「若菜」 課長が彼女を下の名前で呼ぶと、彼女はビクリと肩を揺らし「はい」と、小さな声で返事をした。 「お前は俺と終わりにして高坂と付き合うのか?」 彼女は静かに息を吸い込むと、背筋を伸ばしてしっかりした口調で課長に言った。 「あなたとは終わりにしたい、高坂さんとはまだ付き合うとか、そう言う話をしたことはありません」 「そうなのか」 チラリと俺を見る課長。 「はい、私も高坂さんの気持ち今知りましたから」 彼女のこのセリフで、嘘にリアリティが出てきた気がした。
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