第三章

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腕組みをして暫く黙り込む課長。 そして、こう言った。 「そうか……、二人とももういい、上出来だ」 課長の顔に笑みが浮かぶ。 なんだ? 課長の笑顔とセリフの意味が出来なくて混乱する。彼女も俺と同じような表情をしている。 俺と彼女は顔を合わせて、互いに疑問だらけの間抜け面を向け合う。 すると、課長は酒を一口飲み穏やかな口調で話しだした。 「高坂、君にこんな芝居をさせてしまってすまなかったな。若菜に頼まれたのだろう?」 「え?」 「若菜とは伊達に二年も付き合ってないよ。若菜が嘘を言っていることくらいわかる。高坂のことを好きになったというのは、私と別れるための口実なんだろう?若菜」 眉尻を下げ切なげな顔で彼女を見下ろすと、彼女もまた同じような顔で課長を見上げる。 課長はテーブルに視線を落とすと、口を閉じたまま両方の口角を切なげに上げて鼻から溜息を吐いた。
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