第三章

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「高坂、君をこんなことに巻き込んでしまって悪かったな。若菜の嘘は最初からわかっていた。君まで試すようなことをしてすまなかった。だが、君がこのことを知ることで誰にも言えなくて辛い思いをしていた若菜に相談相手ができると思ったんだ。俺はもう相談にはのってやれないから。上司としてとんだ醜態をさらしてしまったし、勝手言って申しわけないが、これからも宜しく頼むよ。仕事も……若菜のことも」 言い終わると、両手をテーブルにつけて頭を下げる課長。 「あ、はい、勿論です。こちらこそこれからもよろしくお願いします」 深々と頭を下げ返した。 ◇ あの後、三人で食事をして話し合いは終わった。 今は、帰りの電車の中で小早川さんと二人。 正面の車窓から見える切れては流れる街の灯りをただ呆然と見ていると、隣に座る彼女がポツリと言った。 「これで……良かったんですよね?」
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