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その大歓声のなか、僕はただ少女を見つめている。
ありえない・・・、ありえない・・・。こんな幼い少女が・・・この決勝で、この僕と対峙しているなんて・・・。
「それでは、今から決勝戦です!この決勝戦、今回は過去にない闘いとなっています!前例のない、衝撃的な決勝戦です!」
司会の男性が、声を音量拡大魔術で大きくしながら、興奮したようすで観客に話し出す。
「なんと、わずか13歳の少女がこの決勝戦に勝ち上がっています!これは異例です!多くの強者に勝ち、この決勝ステージに立っているのです!これほど才能に溢れている子どもを見たことがあったでしょうか!」
会場が盛り上がる。誰もが少女を天才だと。どんな闘いをするのだと。
騒ぎ、盛り上がっている。
僕もそう思う。天才だ。才能の塊だ。そうだ。
そんなに、ただの少女が勝ち上がれるほど、この大会は甘くない。
「彼女の名は、リラ・ノーティス!ギルド「ガイア」のギルドマスターの娘にして、ギルドランクAの天才少女です!」
名門ギルド「ガイア」。その名は世界に轟いている。多くの者が目指す名門中の名門。そのことに、僕はまた驚愕する。
その年で、ギルドランクA。その年でガイア所属。
驚愕。畏怖。尊敬。あらゆる感情が溢れでる。
僕は、リラ・ノーティスという名を胸に刻み込む。その才能を刻み込む。
おそらく、この闘いは今までで最も厳しい闘いとなるだろう。
負けるかもしれない。それでも・・・僕は・・・。
「対するは、前年度優勝者、ソエル・ハーゲン!彼は前々回大会も優勝しており、今大会3連覇がかかっています。18歳で、かの名門魔術学校「アーリア」の学生でもあります!今、もっとも注目されている学生です!」
司会が僕の紹介をしていく。
観客席から応援の声が聞こえ、僕は片手を上げながらその声援に答える。
「さぁ、ではこの注目すべき決勝戦!始めていきたいと思います!」
司会が大声でそう叫ぶ!体が暑い。緊張してるのか。
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