第1章*

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*君のラムネ 8月9日 今日は夏祭り。 「………変なところないよね」 鏡の前で呟く。 黒と白のしま模様がベースで所々に花が散りばめられている浴衣。 紫色の帯。大きなリボン。 背中までのびているロングの髪はアップでお団子に。 フリルのついたカゴバッグ。 少しだけオシャレにマスカラとリップ。 「よし!」 と玄関を出る。 「行ってきます」 薄暗い家に向かいポツリ、小さく言った。 待ち合わせの場所まで歩いて行く。 カラカラと下駄の高い音が気持ちいい。 夏代花凜(なつしろかりん) 氷華高校の2年生。 誕生日は、8月9日。 そうです、今日で16歳です! いやー、ハッピーバースデイ、自分! そして、彼氏いない歴16年目…(白目) 周りの女の子達はほとんど恋愛経験者、恋愛中の子が多い… したくない事はないんだけどね!むしろしたいよね! 「…私の何がダメなのさ…元気すぎるところ!?女の子っぽくないところ!?もっと女子力…(以下略)」 無意識に小声でぶつぶつと独り言を言っていた。 おっと、口に出ていた。 同じ方向に向かう人達が私を引き気味で見てくる。 何だってんだい!どちくしょう!私が悪いんだけども! そんな事を思いながら軽く睨みつける。 すると肩がビクッと動き歩くスピードを上げた。 ふっ…私に勝とうなんて100年早い! 出直して来るんだね! こんな事を考えながら歩いていたら、 「かーりーんー!」 「あっ、まゆー!」 待ち合わせの場所にはすでにまゆがいた。 花吹まゆ(はなぶきまゆ) 私と同じ氷華高校の2年生。 さっぱりとした性格で私には容赦ない…。 高1のとき同じクラスで席が前後で仲良くなったんだ。 2年生になったらクラス離れちゃったけど… 夏休みに入ってからほとんど毎日一緒に過ごしてた。 だからまぁ、久しぶり感はないね。 まゆの第一印象はとにかく可愛い! ゆるいカーブがかかった金に近い茶色い髪。スッピンでも綺麗な肌。 長いまつげ。 形のいい唇。 すっとのびた鼻。 背は小さいけどスタイルがよすぎ。 とにかく完璧。 神様、なぜ私はこんな姿なのでしょう。不平等すぎるぜ。 しかも今日は白のベースにピンクの花柄、頭には白とピンクの花飾り。 …似合いすぎ。
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