第四章

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山の頂上にあるゴール地点のゲートをくぐると、芝生のある大きな広場で他の生徒達は先生や風紀委員の指示に従いクラスごとに集まっているようだった。 おそらく他に迷子などになっている生徒がいないかを確認するためであろう。 生徒会メンバーや転校生の山吹、風紀委員に連れられている今回の問題を引き起こした生徒達が広場に合流すると、待機していた生徒達が少しざわめきだした。 生徒達に目をやると、こちらを横目で伺いながら、ひそひそと小声で話をしている。 耳を傾けると、「転校生」「親衛隊」「生徒会」という単語が聞こえた。 これはもしかしたら転校初日の食堂の時のようにとても注目されてしまっていたりするのだろうか。 多くの生徒の目線から逃げるように視線を足元にやり、自分のクラスに合流する。 先ほど大柄の生徒に殴られた頬よりも、周りの視線の方が痛い。 「大変お待たせしました。今からお昼休憩となります。昼食はこちらで用意してありますので自由にとって頂いて結構です。」 生徒達の話す声がいい加減うるさいと思っていると、スピーカーを通して全体へ昼休憩の指示が出る。 ざわついていた生徒達はぴたりと会話を止め、生徒達の真正面に立って話す生徒へ一斉に視線を向けた。 騒がしかった生徒達が一気に黙るとは、前でマイクを持つ生徒はまた大変人気な生徒なのだろうと目をやると、一度見たことのある生徒であった。 「また、昼食後は午前の宝探しで皆さんが集めた景品を回収し結果発表しますので、今から班ごとに景品を集め代表者が前まで提出して下さい。以上です。」 そう言うと、マイクを持っていた生徒は早々に立ち去った。周りの生徒達は動きだし、指示に従って班の代表者が景品を集めていた。 俺たちも今まで集めた景品を提出するために、内容を確認しながら4人で会話をしていると、風紀委員のバッジをつけた一人の生徒が近づいてきた。 「お話し中すみません。九条さん、頬を怪我されていますのでこちらのテントで手当てします。今よろしいですか?」 「九条、行ってきなよ。俺が宝箱出しに行くし、早くしないとお昼ご飯食べる時間なくなっちゃうよ。」 高橋がそう言ってくれたので、手に持っていた景品を高橋に渡した。 「頼むわ。あと、俺のお昼ご飯もとっといてもらっていい?」 「了解。席取れたらスマホに連絡入れとくね」 後のことは3人に任せ、怪我の手当のために風紀委員の後ろをついてテントに向かった。
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