第四章

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「まぁオトモダチが責められたからってそんなピリピリすんなよ」 口角をあげたまま風紀委員長が口を開く。 「いやあんたらが勝手にピリつきだしたんでしょ」 どの口が言ってんだよ、と思いすかさず突っ込むと、風紀委員長はまた軽く笑った。 「俺個人としては別に生徒会の奴らが親衛隊と揉めようが、転校生になにがあろうがどーでもいいんだわ。ただ、あのクソ野郎の行動で俺に迷惑がかかることは許さねえ」 「クソ野郎?」 「生徒会長のことだよ」 微笑みながら副委員長は答える。 「へ、あの生徒会長さんと仲が悪いんですか?」 正直話した回数はほとんどなく、第一印象もあの食堂のせいであまり良くはなかった。 しかし、今日話したときに普通に話せばただの良い先輩だったしそんな嫌う要素あったか? 相当なにかひどいことでもされたんだろうか。 「昔から桑原と鞍馬は仲悪いんだよ。この学校はクラスを家柄と成績で決めるから小学校からずっと同じクラスで、出席番号もいつも前後だから接点多くてよく喧嘩してるんだよね」 「へー、きっかけはなんだったんですか?」 「さぁ・・・そういえばなんで鞍馬と仲悪いの?」 副委員長に話を振られた風紀委員長は、生徒会長さんの話題になった途端にあのにやにやした表情から変わり、あからさまに不機嫌な表情をしている。 「あ?ただ気にくわねえだけだよ。あの余裕ぶった顔とか自分が世界の中心みたいに思ってそうだろ」 「はは、それは桑原も一緒だよ」 「あ?」 副委員長の返した言葉がそうとう気にくわなかったらしく思いっきり睨み付けている。 つまり同族嫌悪ってやつなのか。 しかし、さっきから副委員長は毒しか吐いてないな。 「じゃあ副委員長さんが生徒会のことをクソって言ってるのは何でなんですか?」 「僕は副会長の相良が嫌いなの。常にニコニコしてるけど何が面白くて笑ってるのか意味分からないし」 「はっ、それこそお前も一緒じゃねえか」 うん、それは俺も思った。 風紀委員長はさっきの仕返しなのか爆笑してるし。 「は?僕は相手の懐に入りやすくするために笑ってんだよ。あいつはあの笑顔の裏で人のことを馬鹿にしてる気がするから視界に入ると喧嘩売りたくなる」 「副委員長さんどんどん口悪くなってないですか?」 ずっと笑ってるけどそれが逆に怖い。 歩クンも隣ですげえドン引きしてる表情してるし。 「まあつまりクソ野郎と相良が生徒会に入ったから、俺らは生徒会と同じ権限を持つ風紀委員会に入ったってわけだ。クソ野郎の指示なんて聞くわけねえしな」 「それで生徒会と風紀委員会は仲が悪かったんですね・・・」 歩クンはなるほど・・・とつぶやく。 つーか後輩からしたらとばっちりじゃねえか。 2人ともただの同族嫌悪だし。
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