第15章

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"あの"を強調される北沢さんはというと、あの一件の事は何も触れてこない。 終わった事だからなのか、私に気を遣ってからなのか…。 これが北沢さんの優しさ…器の大きさなのかもしれないけど、あの時のモヤモヤは頭の片隅に残ってる。 一切私を責める事のなかった北沢さん。 あの時、私の事をどう思ったのだろう。 彼の優しさにどっぷりはまってしまってる私も自ら話題を振る事もできなくて。 仮に勇気を出して話題を振って険悪な雰囲気に包まれる事が怖くて。 浮かび上がってくる色々な気持ちをそのまま胸の奥底に沈め蓋をした。 後に こういう行動が一番最悪な形で現れるなんて この時は思ってもいなかった。 それに気付くのはもう少し先の事。 ◇◇◇◇◇◇
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