517人が本棚に入れています
本棚に追加
12月24日金曜日。
多くの恋人達が楽しく過ごすであろうクリスマスイブ。
「千佳さ~ん、今日はどうするんですかー?」
「どうするって、何もないよ」
「えー?北沢さんから連絡なしなんですか?」
「うん。まだ帰ってきてないから」
そう。
あれは1週間前───
「出張…ですか?」
『ちょっとトラブっててヘルプで行くことになって』
「いつから何処にですか?」
『明後日からドイツ』
「ドイツ!?」
『前俺がいたトコ…って、話した事なかったっけ?』
そう言えば…海外にいたとは聞いたてたしっかり場所まではなかったかも。
「どのくらい向こうに?」
『行ってみなきゃわからないけど、状況次第。遠藤さんからは最低でも1週間とは言われてる』
「1週間…」
『ごめん、来週クリスマスなのに』
「…!!っ全然大丈夫です!気にしないでください!仕事なんですし、仕方がな──」
"北沢、ちょっと…"
電話の向こうから北沢さんを呼ぶ声が聞こえる
『今行きます。──ごめん、まだ仕事中なんだ。また連絡する』
そう言って電話が切れた。
余程忙しいのかそれから連絡もなく
出発当日に
"行ってきます"
のメールが着ただけで今日まで全く音沙汰なしなのだ。
最初のコメントを投稿しよう!