第1章

5/20
前へ
/20ページ
次へ
「じいさーん、止めとくれ。狸は、もっと懲らしめなきゃ。また悪戯に来るじゃろ?」 それを聞き、おじいさんは銃を地面に置く。 「火縄銃じゃ、なかなか当たらんわい」 おばあさんは呟きながら、うろうろと歩き回る。 「おばあさん、兎の考えを聞いて下さいよ!」 すると、一匹の兎が走って来た。 「あっ、兎じゃ。晩の飯に丁度良いわい」 「ひえっ、オイラを食う気か。じゃあ狸退治手伝ってやんない」 兎はニヤリと笑いながら言う。 「何、撃たないから。聞かせておくれ!」 おばあさんは興味津々に兎からの提案を聴く。 「成る程の、じいさんや。芥子と湿布を用意せい」 おばあさんはおじいさんに言った。 「よしっ、兎や。泥をかき集めておくれ」 「了解!」 兎は嬉しそうに返事を返すと、近くから泥を集め出した。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加