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「え、えと、うん、すごく良かった……何で知ってるの?」
首の傾げはまだ続行中だ。
立花君は私の机の上に開いたままの本の背表紙を上にして、一度閉じると、またその背表紙だけを開いた。
ハードカバーの背表紙の裏側には半分の長さに切られた封筒がついていて、その中に半分ほど顏を出した貸出カードが入れられている。
昔からのアナログな、手作りのそれには借りた人のクラスと名前が書かれている。
この貸出カードは図書部で作られていて、補充するのも私達部員の活動だ。
それを抜いた立花君は、とんとん、と指を差した。
「俺も借りたから。っていうか、蝶野さん名前書かないで借りてる」
「私、図書部で」
「職権乱用?」
「ってわけでもないんだけれど、その、読み終わってから書くの、私」
「そうなんだ、ごめん。で、話戻すけど」
と、立花君は貸出カードを元に戻す。
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