第1章 秘密の花園

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「栞、挟んだままだなって思い出して。そしたら蝶野さんがその本読んでる見えてさ」  私は今日一日、ずっと本を読んでいた。 休み時間も、授業中もこっそりと。 きっと席を通り過ぎる時に見えたのだと思う。 何せ席も前と後ろだし。 「残りのページの厚さ的に今日中に読み終わるなぁと」  なるほど、と私の首はやっと、元に戻った。 「言ってくれたらよかったのに」  私は、ぽつり、と呟いた。 というか、言ってしまった。 読み終わるまで待つなんて、と思ってしまったからなのだけれど、今度は立花君が首を傾げる。  なんで首が横に? 「俺は登校してからも、休み時間にも、昼休みが終わる頃にも、帰りの礼が終わってすぐにも声をかけたんだけど」  うっ、マジですか。
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