110人が本棚に入れています
本棚に追加
「栞、挟んだままだなって思い出して。そしたら蝶野さんがその本読んでる見えてさ」
私は今日一日、ずっと本を読んでいた。
休み時間も、授業中もこっそりと。
きっと席を通り過ぎる時に見えたのだと思う。
何せ席も前と後ろだし。
「残りのページの厚さ的に今日中に読み終わるなぁと」
なるほど、と私の首はやっと、元に戻った。
「言ってくれたらよかったのに」
私は、ぽつり、と呟いた。
というか、言ってしまった。
読み終わるまで待つなんて、と思ってしまったからなのだけれど、今度は立花君が首を傾げる。
なんで首が横に?
「俺は登校してからも、休み時間にも、昼休みが終わる頃にも、帰りの礼が終わってすぐにも声をかけたんだけど」
うっ、マジですか。
最初のコメントを投稿しよう!