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「でも蝶野さん、ちっとも、まったく、全然気づいてくれないから待つ方が早いと思ってですね、で、部活を抜けてきたわけなんですよ」
立花君の淡々とした静かな声と無表情の眼差しが、とても痛い。
「それは重ね重ね、さらに重ねて申し訳ありません……」
恥ずかしさから私は、ごん、と本の背表紙に額を打ち付けつつ謝った。
ちょっと痛かったので顏を上げた私は額をこする。
「別にいいよ、戻ってきたし。ところでその本、続きあるの知ってる？」
「えっ、そうなの？」
私は本を開いてシリーズ物なのか見てみたけれど、そんな事は書かれていないようだった。
「うん。まぁその続きは今、俺が借りてるんだけどな……読む？」
「いいの？」
「おかげ様で蝶野さんを待ってる間に部室で読み終わったとこ」
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